月城かなと氏の美に平伏しつつ銀二貫を読む
最近和物続きの雪組さんでジャージか和服かくらいには和服慣れしているであろう月城かなと氏、満を持してのバウ初主演です。この人は本当に美しいです。青天被らせてもその美に一点の曇りもありません。美しい。まず美しい。ただ美しい。人間顔じゃないとか言うけれど、私も良く言われますけど(おかわいそうに...)なんだかんだつまるところ結局顔です。顔が命の月城です。そう言われているような説得力のある美しさ。月城かなと氏の美は宝塚の宝です。そしてそんな彼女の本作での相手役は雪組期待の娘役有沙瞳ちゃん...歌うまさんですよね。伯爵令嬢のアンナ、悪役を生き生きと演じていて以来ちょっとだけ注目の娘役さんです。
とかなんとか思いながらでは全くありませんが(おい)、暇つぶしに近所の書店で本を物色していたらふと目に留まったので買って読んでみました。
まあ原作買いましたし読みましたけど、バウでしか上演しないので残念ながら観に行くことはありません(すみません)。東上してくれれば観たいのはやまやまなんですけどね...
で、感想です。
まず先に言っておきますが、この作品を読んでから高田郁さんの他の作品も読んでみたくなり、「みをつくし料理帖」を読み始めています。結果、頭の中が心太(ところてん)です。どっちの心太なのか頭の中が混乱しています。こっちの感想書きながらあっちの心太が出てきてしまうやも知れません。言ってること意味不明でしょうが両作を読んだ方にだけ共感できる(できますよね?違う?)心情ということでご容赦ください。
で、今度こそ感想です。
(ネタバレ含みますのでご注意ください)
引っかかりがない
なんかね、何っていうほどのものじゃないんです。言い方が難しいけど「おおっ!?」とか「マジかよ!!?!」とか「現実でありえねーだろおい」みたいな引っかかりがないんです。それはひとつ間違えば退屈で読み進めるのが苦痛になりがちだけど、これは全くそんなことなくすうっと頭と心にストーリーが入ってくる感じでページを繰る手が止まりませんでした。
一に人情二に人情、三四がなくて五に人情
です。上方(関西)特有の情にほだされる系の人情ものです。「どうせ上っ面だけで実は腹ん中ではどす黒い感情が煮えたぎってんだろ?」とか「口ではいいこと言ってるけどどうせ相手を蹴落とすことしか考えてないんだろ?」みたいな読者の期待を真っ向から裏切ります(てかあなた相当性格悪いですね)(自覚してます)
登場人物の人物描写が繊細
誰か人物紹介と人物相関図をはよ!!!と言いたくなるくらいひとりひとりの人物描写が丁寧でいろんな人がいろんな方向にいりくんでます。でもこれが交通渋滞を起こすことなくうまく繋がっていて気持ちいいくらいです。
まず仇討を銀二貫で買った和助さんGJだし人間は顔じゃないよね(さっきと言ってること違います)な顔に火傷を負った真帆ちゃんとそんな真帆ちゃんに違わぬ愛を持ち続ける松吉との「おいおまえらいい加減くっついちまえよ!」なギリギリまでやきもきさせられる感嫌いじゃないし、だんだん松吉を認めるようになる善次郎さんにはいい意味で人間臭さを感じるし、梅吉くんも寒天場の半兵衛さんもほんと裏のないいい人たちだしあと誰がいたっけか...まあとりあえず心太食べたくなります(だから意味不明ですってば)。
ちなみに私あまり心太好きじゃないんです...あの独特な磯の香りというか...でもとりあえず久しぶりに食べてみたくなりました(その情報要りますか?)(い、要らなかったですね...)(すみません)
締めがすばらしい!!!
終わりよければすべてよし、という言葉は逆に言えば終わりが悪かったらすべてが台無し、ってことなわけで。いや、そんなこと言いたいんじゃなくて、本当のラストのラストに泣かされました。和助さんと善次郎さんのやりとり。号泣という涙ではないけれど、ほろりとした心が洗われるような涙。すっきり!!!座布団10枚!!!