愛あればこそ

愛あればこそ

宝塚愛をこじらせたヅカヲタの戯言

柚希礼音著『夢をかなえるために、私がやってきた5つのこと』読みました。

コレ読みました。レジェンドの秘密を暴いてやろうと思って(なんで挑戦的なんですか)。

夢をかなえるために、私がやってきた5つのこと

夢をかなえるために、私がやってきた5つのこと

 

 

レジェンドがレジェンドたる所以。

この本を読んでみて素直に思ったことは、結局は持って生まれた才能があってこそ。才能がなきゃ何も始まらない。まあハナっからこんなこと言ってしまっては終了になってしまうけど。だけど、その才能をベースにどれだけ努力し気づけるかでその先の道が決まるんだということ。

 

才能5割、努力3割、気づき2割。

 

そんなイメージ。

 

才能だけでは決して柚希礼音は生まれなかった。

その人並み外れた才能に驕らず、努力し、可能性を信じ、限界を決めず、人の話に素直に耳を傾け、気づくこと。その積み重ねがレジェンドと言われるほどの伝説を残した宝塚トップスター・柚希礼音を誕生させたんだということ。素直にすごいと思いました。

 

17歳で一度バレエダンサーとしての渡米の夢をあきらめて親に勧められて入った宝塚。もともと好きで入ったわけではない世界で苦手な芝居や歌も克服しなければならず、そんな中早期の抜擢をされていく不安。胃腸炎で何度も救急車で運ばれたとか。

そんな壁を、絶対にあきらめずに、努力をすれば辿り着くと信じて、一歩ずつ昇りつめ“トップスター”という頂に立ったちえさん。この人は褒めて伸びるタイプではなく否定からのナニクソ根性で伸びるタイプの人なんですね。『スカーレット・ピンパーネル』ショーヴラン役の小池先生からの執拗なまでのダメ出しとその克服が一つのターニングポイントだったとか。

 

自身の失敗から気づき、反省し、見出す。その失敗が男役としてだったり与えられた役としてだったり、上級生としてだったり、トップスターとしてだったり。いろんな立場でいろんな方向からいろんな失敗をして、「こうではいけない」と気づき「こうしたらいいんじゃないか」と見出す。その過程においてはどんな立場の人からの助言も素直に聞き入れ、どんな立場の人にも自分の欠点を曝け出す。これがレジェンド・柚希を作り上げた所以のようです。

でもよくよく考えたらこれってこの世の中の全ての事象に当てはまること。

たとえば事業。ひとつの事業を立ち上げて失敗する。失敗したから次行こう、では決してよくはならない。その失敗の原因を探り、検証し、次回の成功に導く。

たとえば恋。好きな人に突然フラれた。私の何がいけなかったのか、ふたりの相性はどうだったのか。フラれた原因を探って、理解し、新しい恋へ。

料理だった子育てだって就活だってそう。

結局のところ人間が人間として成長していく上での大切な要素なんだと。それを素直に丁寧にひとつずつ積み重ねていくことが自身を向上させることになるんだ、と教わった気がします。

 

そしてとても印象的だったのはちえさんのお母様の教え。

「どんな時でも謙虚でいなさい」
「2階席の後方に座る方も前方席に座る方と同じように」
「柚希礼音はファンの皆様に作っていただいたのだから」

ちえさんが用意した前方席に絶対に座ろうとしなかったお母様。どんな時でもファンの方への感謝を忘れないお母様が退団公演の千秋楽は全てのファンの方よりも前、最前列に座られたとか。娘であって娘でない、そんな姿を最初で最後の特等席で見られたお母様のお気持ちはいかばかりかと思わずにいられません。退団後帰省した娘に「ちえちゃん、おかえり」と言われたお母様。この「おかえり」に込められた計り知れないほどのいろんな思いと娘への深い愛情に涙腺が緩みました。

 

巻頭に柚希さんのフォトページが数ページあります。髪型や出で立ちはまだまだ男役スタイルから抜けきれていませんが、表情というかお顔立ち自体がすっかり柔らかく女性のそれになっていました。“宝塚のトップスター”が抱える孤独と重圧と責任がどれほどのものだったのか。文章からももちろんですがこの表情からも感じ取れた気がします。

柚希さん、本当におつかれさまでした。そしてありがとう。また新しい世界でその魅力を存分に見せつけてください。

 

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そしてここからは余談というよりもどーでもいい話。本書の一節に「ベルばらを一度正塚先生の作品だと思ってやってみよう」というくだりがあったのですが、ちょっと観てみたくないですか正塚版・ベルサイユのばら。異様にアンドレとアランの友情に重きを置きそうだしジャンヌは復活してメインキャストになりそうだしベルナールとロザリーあたりがお笑い担当も兼ねそうだけど。観てみたい。はい、余談でした。

 

 

 

 

 

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そして。今度はまったくの別件ですが。わざわざ一記事を割くほどのものでもないのでここで。

 

稲葉先生にこちらを借りてお詫びをしてもいいですか。

先日のブログで次回月組公演『GOLDEN JAZZ』の客席参加について稲葉先生の発案だと思い込み稲葉先生にツッコミを入れてしまっておりました。

wheat.hateblo.jp

 

実はこれ、KAZUMI-BOY先生の発案だった模様。稲葉先生大変失礼いたしました。そしてBOY先生。大概にしてください。ありがとうございます(土下座)。

ameblo.jp