愛あればこそ

宝塚愛をこじらせたヅカヲタの戯言

凰稀・轟バトラーに挟まれた紅バトラーやいかに ◆ '14星組『風と共に去りぬ』

 

宝塚グランドロマン風と共に去りぬ
星組・全国ツアー 2014年11月14日~12月7日
脚本・演出/植田紳爾 演出/谷正純
主演/紅ゆずる
 

星組公演 『風と共に去りぬ』 | 宝塚歌劇公式ホームページ

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星組・紅さん版観ました。バトラー編。

まさきさんの風共が脳内に定着しているからかスカーレットの扱いが薄い。あたりまえだけどね主演はあくまでも紅さんなんだし。幕開きはバトラー編ゆえ屋敷を後に『さよならは夕映えの中で』を歌う紅さんから。うーーーーん。やっぱり轟バトラー見ちゃってるからかな、あの圧倒的なカリスマ性と中年男の色気、みたいなものにちょっと欠けてたよ紅さんは。歌もね...やっぱりね...もうちょっと頑張って欲しい。どこの組でかはわからないけど、次期トップは確実なんだろうから。

あとは全ツゆえにそりゃ仕方がないだろって話だけど、風共と言えばの上下(かみしも)に置かれた2階建てのセットもなく、盆セリもないためまぁカーテン前が多い。ただでさえカーテン閉めるのだいすき☆植爺なのにさらに倍でカーテンしゃーしゃー閉める。いや、全ツだからね。仕方ないよ。わかってるけど。

でも全ツって、地方であればあるほど「宝塚?よお知らんけど女が男やりよるん?なんか隣町の会館に来るって回覧板に書いてあったから一度見てみようと思ってな」みたいなお父さんお母さんたちが多いと思うんですよ。そんな初見の方たちにこのお話、ちゃんと理解してもらえるのかなーと立ち位置不明な心配をしてしまう。です。スカーレットⅡとか意味わかって見てくれてるんだろうか。元が有名な話だからこそ余計こんがらかるんじゃないかな。要らぬ心配?まあこれは全ツに限ったことではないけれど。

 

幕開きは屋敷を出ていくバトラーからの回想的に園遊会のスカーレットに繋がる。こういうベタな演出わたし好きなので、いきなり園遊会から始まる月版より個人的にはこっちの方が好きです。黒いスーツでひとり孤独に歌い捌けるバトラーとシンクロしてまっ白いドレスで大勢の男たちに囲まれて華々しく真ん中に立つスカーレットとのコントラストも舞台を観てる感があって好きです。

ただやはりバトラー編はバトラーとスカーレットの出会いの場面、樫の木屋敷での一件が演じられずにいきなりアトランタ駅での再会になるのがやっぱり入り込みづらいんだよな...アシュレに求婚してフラれる一連を見ていたバトラーに感情的に怒るスカーレットとそんなスカーレットを面白そうにあしらうバトラー。この出会いの場面ほんと重要だと思うんだけど。

ひとつわかりやすかったのは、喪服でバトラーとダンスを踊る場面、いきなりスカーレットが真顔で怒り出すところありますよね。バトラーが「金儲けのためだ」みたいに言った後。あれ、月版はバトラーの台詞が曖昧でなぜ急にスカーレットが真顔になって怒り出すのか、バトラーがそもそも金儲け主義なんてわかってることだろうに、という疑問があったのですが、星版はバトラーの台詞が「どうせ近々南部は戦争に負けるのだからそれを商売にして金儲けをして何が悪い」的なそりゃスカーレットも怒るだろ。と納得させられるようなセリフになっていて。“金儲け”の部分に怒ったのではなく“南部が負ける”と決めつけているところに怒ってるんですよね、スカーレットは。

 

レット・バトラー(紅ゆずる)。上にも書いた通り商売の才覚に優れ、いつでも金を持っていて、嫌われつつも一目置かれている。というカリスマ感がなかった。轟さん見た後だからハードル上がってるのかもだけど。でも後半の感情をあらわにしていく場面、嫉妬に狂ってヤケ酒をくらう場面やスカーレットを殺そうとしたんだとメラニーに縋る場面は紅さん良かったと思います。自身に湧き起こる感情の波を抑えようとしながらも抑えきれずに出してしまう、そんな自分をコントロールできない言ってみれば自分への敗北感みたいなどうしようもない感じが紅さんの芝居から感じて、ここは轟さんよりも感情移入できました。ただね、紅さん顔芸がすごいw 顔芸がすごい時に限ってまた映像もアップで抜いてくるの。あれCSさん確信犯だね。引きの画で腰から上あたりを映してもらうと紅さんすっごくかっこいい。黒髪にシケを垂らした感じも独特なメイクも少し引いて見れば最高にかっこよかったです(褒めてます)。

 

スカーレット(礼真琴)。まあ星組でスカーレット演らせるなら琴ちゃんでしょ。それは確かにそう。そして好演してたと思う。もしかしたらまさきさんのスカーレットより琴ちゃんのスカーレットの方がいい、という人の方が多いかもしれない。からあくまでも個人的感想です。まず、メイクが下手。丸顔でパーツパーツも丸いのにメイクも丸くしちゃってる。しかもアイメイクちょっと雑?というか汚い?ような気がしてしまった。歌は琴ちゃんだけあって全く問題ないし芝居もよかった。でもスカーレットって『私は明るく陽気な娘』って自負してるくらいぱあっと華やかでないといけない。そして喜怒哀楽すべてに全力である人。それが琴ちゃんには欠けていたように思います。ちょっとわがままで負けず嫌いの女子。そんな感じ。タラの場面も大粒の涙をぽろぽろ流して熱演していたけど、絶望、悔しさ、悲しさからのナニクソ根性や開き直り感みたいなのが薄くてなんというかすっごくものわかりのいいスカーレットだった印象。

 

メラニー(音波みのり)。はるこちゃん、きれいだよね。ビジュアルはすごくメラニー。でもやっぱりメラニーとしての絶対的聖母感みたいなのが見えなくて、こう、人のいい奥様的な印象。あのバトラーが唯一、スカーレットにも開ききらなかった心を唯一開く人。そこまでの人にはなりきれてなかったように感じました。

 

ベル・ワットリング(天寿光希)。良かった。みっきーすごくベルだった。私の中では歴代一かも。時代の波に逆らえずやりたくてやっているわけではない娼婦。でも人一倍情に厚くて南部を愛している人。レットへの心からの愛情とか、なぜか憎みきれないスカーレットへの感情とか、メラニーに対する信仰にも似た気持ちとか。よく出ていたと思います。最後、メラニーのために神に手を合わせる場面、「メラニーのためなら自分の命を差し出してもいい」というベルの台詞がどのベルよりも一番心に響きました。映像なのに泣きそうだった。

 

この全ツの後、月組での再演にそのままキャスティングされたアシュレのみつるさん、マミーのさやかさんもやっぱりうまかったです。ほんとさやかさんのマミー大好き。まだ黒人が奴隷として扱われていた時代にオハラ家でちゃんと“人”として扱われたマミーのオハラ家の人々への愛、それを取り巻く環境すべてへの愛がすっごく感じられて。さやかさんのお芝居すっごく好きです。

 

 

紅さん、この全ツの直前、体調不良で『演劇人祭』休演されたんですよね。その後の二番手として主演を務める全国ツアー。ただでさえプレッシャー大きかったと思います。全ツはかなり体力消耗すると言いますからね...この後のタカスペも休演されたくらいだからきっと万全ではない中の全ツだったことと思います。そんな中全公演きちんと任を果たされた紅さんのプロ根性を見た気がします。