愛あればこそ

愛あればこそ

宝塚愛をこじらせたヅカヲタの戯言

『男役』-虚構のような現実のような

 1年以上積読してた本をひっぱり出してきてやっと読んだので。

男役

男役

 

 

めっちゃファンタジーだしヅカファンなら簡単に浮かびそうなストーリーだしちょっと過去にあった悲惨な事故を彷彿とさせるし哀しみのコルドバだしってことで、ヅカ版ファントムです(脈絡)

サヨナラ公演中のトップスターと研3にして新人公演主演に大抜擢された主人公とかつてお披露目公演2日目にして不幸にも舞台で事故死したトップスターの亡霊『ファントムさん』がメインキャスト。主人公の祖母であるかつての相手役とファントムさんとのせつないラブストーリーが主軸なんだろうけど、若い女性だけに許される男役トップスターという短い命のあり方を考えさせられもした。『男役が人生のすべてだった。男役をやめたら生きている意味はない。』っていうようなセリフがすごく苦しくてフィクションなれど多かれ少なかれこういう思いを抱いている男役さんもいるんだろうなーとちょっとせつなくなった。そして舞台の守護神って実は本当にいて演者を守ってくれてるのかも、もしくは演者はそう信じて舞台に立っているのかも、とも思った。楽屋前のお稲荷さんに手を合わせて祈るように。

しかし“夢ぴりか”とか“笹にしき”とかどこの精米所かと思うような芸名とかちょっと読んでるこっちがこっぱずかしくなったしところどころに出てくる百合感がなんかこう中途半端でだから余計にリアルさが出ていて変に罪悪感を感じた。描くならもっとフィクション感出してキョーレツに百合百合して欲しい。宝塚を知らない人が読んだらこれ、宝塚が百合の世界だと勘違いされるんだろうなーとも。

描かれているのが月組トップスターで個性的な異端児で絶賛サヨナラ公演中ってのがちょっと最近までのまさきさんみあっておい...って思ったけど絶大なる人気があって満を持してトップになったカリスマってことでまあ思い違いでしたね安心しました(にっこり)


シリーズで『娘役』も刊行されているので今度はこっちを読んでみます。

 

 

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