愛あればこそ

愛あればこそ

宝塚愛をこじらせたヅカヲタの戯言

2月20日(月)NHK-BSプレミアムで『忠臣蔵』やります。番宣です。回し者です。

口を開けばまさおちゃんまさおちゃんな最近はまさおちゃんの生え際に悶えまくっているわたしでも、ハジメテを捧げたオトコ(言い方)はやっぱり特別でずっと忘れられない存在です。今日はそんなわたしがかつて愛した(今も愛してるけどな)(照)オトコについて。

 

忠臣蔵 花に散り 雪に散りー』

言わずと知れた(知れてます?)杜けあきさん(以下 かりんちょ)の退団公演です。当時まだ研13、すみれコードぶっちぎれば33歳で臨んだ大石内蔵助。中年妻子持ちという、宝塚の男役らしからぬ役をトップがしかもサヨナラ公演で演じる。公式ホームページがなかった当時、作品の情報はどこから仕入れてたんだかもはや記憶にないんだけど、たしか『忠臣蔵』という作品をやるんだということを知ったのはかりんちょのお茶会じゃなかったかな...本人の口から「次は『忠臣蔵』で大石内蔵助を演ります」言われてその場がざわついたようなうっすらとした記憶があるんだけど...(怪しい)。

あの、今のうち言っておきますけどわたし『忠臣蔵』語りだすとすっごく長くなるのでお帰りの方はどうぞお気になさらず。...とエクスキューズしておいたのであとは心置きなく語りますし「長い!」というクレームは受け付けませんのでよろしくおねがいしますね(にっこり)。あ、あとお帰りの前に録画予約だけは忘れずにおねがいしますね(さらににっこり)。

 

www4.nhk.or.jp

f:id:whea-t:20170209172552j:plainNHK-BSプレミアムから抜粋)

 

公演発表

和物の雪組と言われて花柳の名取でもあった杜けあきトップ時代はやっぱり比較的日本物が多くて、結果本公演8作のうち4作が和物。しかも前作『この恋は雲の涯まで』に続いてまたしても日本物の一本物。(またかよ...)というがっかり感がそれだけでも大きいのにそれに加えて中年妻子持ち。さらには相手役の紫ともちゃんは瑤泉院役。かりんちょ演じる内蔵助の妻ではなく二番手・一路真輝演じる浅野内匠頭の妻。半泣きだった。

まあ四半世紀経ってだいぶ大人になっても沼っぷりというか人間のアイデンティティってそうそう変わらないんだなーとつくづく思ったけどこのときも毎週末あたりまえのように遠征してたっけ...ってのは今はどうでもいい話です。閑話休題

 

初日

そんなもやもやした不満を抱えつつ初日開けていざ客席から見届けたその舞台はだから余計にとても素晴らしくて、今まで不平不満たらったらで申し訳ございませんでしたああああああっ!(土下座)くらいには感動したことを覚えています。初日の感動で一番心に残っているのは、幕開き早々の大階段にずらっと並んだ四十七士。まあ実際は男役が足りなくて47人はいなかったけど、黒地に白襟の討ち入り装束に身を固めた四十七士のその光景は至極圧巻でした。そして、二幕ラストの今や有名になった(なった?)例の台詞。

「もはやこれで...思い残すことはござらん!」

この台詞を下手花道で清々しく言い放って捌けていくかりんちょの姿を見てて「こちらこそ思い残すことはござらんですうううううっ!(涙)」ってなったのを覚えています。

 

脚本・演出

脚本・演出は柴田先生。もちろんかりんちょはじめ演者の力もあったとは思うけど、この作品がここまで素晴らしいものになったのは他でもない、柴田先生のおかげだと私は思っています。「菊田一夫演劇賞」をこの作品で現役生として初めて杜けあき個人が受賞できたのもこの脚本あってこそ。生徒をよく知る座付の演出家がその生徒に当てて脚本を書き、演出をも手掛ける宝塚歌劇団独特のシステムはそういう意味でとても素晴らしいと思うし100年続いてきた所以でもあるのかなーと思っています。

要所要所細かいことを言えば、(この演出要るのか...?)みたいな場面がありはしました。だからもしかしたらもし次に再演があるとしたらブラッシュアップして一幕物にしてしまってもよいかもです。でも大枠的には本当に素晴らしい作品だから!観ろ!(命令)

ところで柴田先生、この『忠臣蔵』の舞台稽古中に最後の光を失いました。何かの記事で「銀橋を渡るかりんちょを見たのが最後だった」とおっしゃっていたのを覚えています。柴田先生が最後に見たかりんちょの姿、いつまでも色褪せずに凛々しくあって欲しいと願わずにはいられません。

 

キャスティングの妙

そしてこの作品が成功したもうひとつの所以は専科の出演者にあると思っています。星原美佐緒さん、立ともみさん、鈴鹿照さん、萬あきらさん、岸香織さん(で合ってる?)。これぞ「専科」という役割を果たしてくださったみなさん立役者でした。中でも特に星原さんは素晴らしかった。この作品になくてはならない重要人物、吉良上野介という憎まれ役を徹底的に憎まれるべく演じてくれたからこそ赤穂浪士への肩入れも熱くなるし討ち入りからラストへの感動がより大きくなる。この作品での最重要役といっても過言ではないこの大役を見事に果たしてくれました。そしてこの作品では比較的多かった“二役”。星原さんも例に違わずもうひと役、吉良邸に出入りする大工の棟梁役をされていました。吉良側の身ながら赤穂の士にほだされて、娘おきくの思いもあって赤穂に吉良邸の絵図面を渡すというこれはこれで難役。「あっしは赤穂贔屓でねぇ」というセリフがすっごく情があって上野介とは真反対の役を同じ人とは思えないほど温かく演じていました。

ところで二役と言えばちょっと言っておきたい。今も専科でご活躍中の京三紗さん。当時は雪組組長だったんだけど、京さんが珍しく二役で男役をされたのが印象的でした。後半、吉良邸の茶会の日を赤穂に明かす茶の師匠役。髭をたくわえて低い声で句を詠む京さんとっても新鮮でした。

組子にいたっても当時は路線スターがひしめきあっていて、二番手一路いっちゃんから下、高嶺ユキちゃん、轟イシちゃん、香寿タータン、微妙路線だったけど海峡みゆちゃん、若手では和央タカコに安蘭とうこさんまで。まあ瞳子さんは当時研2でこの時は本公演ではまだモブな赤穂浪士一休さんみたいな小坊主やってただけだけど新公では轟さん演じる堀部安兵衛の役もらってたからね...期待値大の路線だったんだよね...入団してきたときも「ウタコさんにそっくりな子が入ってきた」って結構話題の人でした。

 

キャスト

大石内蔵助杜けあき

本作の主演、大石内蔵助。贔屓目あるとは思うんだけど、これほどまでに大石内蔵助大石内蔵助として演じられる演者はそうそういないと思います。それくらいには素晴らしかった。身に漂う風格、色気、品。そしてビジュアルに、芝居、歌。そりゃ菊田一夫さんも黙っちゃいないでしょ、くらいには誰をも納得させられる大石でした。妻りくに離縁を告げる場面、吉良方のスパイお蘭との駆け引き、そこからの互いに通じ合う場面、色里での千鳥足での所作はさすがの名取という感じでしなが美しかったし酔ったふりでの歌はすっごく色っぽくて艶やかで鳥肌が立ちました。昼行燈の上辺に隠された亡き主君への揺るぎない忠心がところどころの表情に見てとれてそれがすごくかっこよかったし吉良への復讐を果たした後の清々しい表情は13年の宝塚生活を悔いなく果たした杜けあきの表情と重なって胸が詰まりました。まあなによりもとにかく歌が素晴らしいです。技術的に上手いだけではない、大石の心情を声にのせて歌う歌が強くて、せつなくて、優しくて。心が震えました。もし再演するとしたら...と考えると今は残念ながらわたし的には思いつく人はいません。強いて言うならノンちゃんあたりで(もう辞めてます)。この先誰か相応しい人が出てきたら再演もありかなーと思います。相応しい人、ならね。

 

阿久里(瑤泉院)/お蘭:紫とも(二役)

紫ともちゃん。前作『この恋は雲の涯まで』で鮎ちゃん(鮎ゆうき)の後任としてかりんちょ相手役のお披露目(プレは中日『華麗なるギャツビー』)をしたばかりということもあって同時退団の道は選ばなかったけど、今にして思うとこのとき一緒に辞めておけば良かったんじゃ...と思うほどのその後の扱いだったからな...ってのは今は話が逸れるので置いておく。ともちゃんも二役でした。浅野内匠頭の妻阿久里(後の瑤泉院)と上杉配下の吉良側スパイ、お蘭。いやあ、お蘭すごく良かったです。ちゃんとかりんちょと深く絡む役を作ってくれた柴田先生マジありがとう。たった2作の相手役とは言え、元はと言えば雪組で新公やバウで一緒に組んでいた相手役でもあるわけで。鮎ちゃんの娘役転向からの抜擢で月組に飛ばされた感あったもののまたかりんちょの元に戻ってきてくれた大切な相手役。あの前に立った大きなおみみがかわいくて好きでした。(今は小さくてまぁるいお耳が大好物ですがなにか質問ありますか)敵ながら我が意に反して大石に惹かれていってしまう心の葛藤とすべてを諦めて命を賭して大石に全てを委ねる決死の恋心がすごくせつなかったし、かりんちょ銀橋、ともちゃん本舞台でハモる「花ひとつ」のふたりの歌声が苦しくて儚くて美しくて泣けました。

 

このままだと延々と長くなりそうなのであとは早送りするけど浅野内匠頭赤穂浪士の二役を演じた次期トップいっちゃん(一路真輝)とか町娘・おきくを演じた歌姫じゅんちゃん(純名里沙)とか十郎左さまなユキちゃん(高嶺ふぶき)と音羽なあきちゃん(渚あき)の銀橋でのやりとりがかわいらしかったのとか今やすっかりダンディなおっさん轟悠がまだちょっぴり女性臭してたりとかまだ若いナガさん(飛鳥裕)とか矢吹翔なCHIHARUさんが赤穂浪士だったりタカコ(和央ようか)が読売で学芸会的な大道具(映像観てくださいw)に負けじとまだ渡り慣れない銀橋渡ってたりとか「ちちうえ!」っていう高倉京ちゃんがめっかわだったりああすっしーさん(寿つかさ)も瞳子さん(安蘭けい)も目を凝らして探してくれれば赤穂浪士の中にいるしもっとよーく探すと研一のかしげさん(貴城けい)・ゆうひさん(大空ゆうひ)がいたりもする。あと上杉配下の小林平八郎を演った泉つかささんってのはわたしは常々北翔さんに似てるなーと思っている人です。北翔さん"が”似てるんだけどね。

 

宝塚大劇場のラストステージでした

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宝塚大劇場のラストでもあり、雪組トップスター・杜けあきのラストでもあったこの作品。千秋楽が終わった後は席番のプレートやらなにやらが記念に持ち去られたようだけどわたしはそんなことした記憶ないし周りもそんなことしてたかなー。もらっていいんなら私も持って帰りたかったよ千秋楽の自分の席番(3階席だったけどな)。画像は実際に千秋楽に客席から振った“KEAKI MORI”ロゴ入りペンライトです(ボロボロ)。当時は今みたいに小洒落たデザインじゃなくて本当に“ペンライト”でしたw 旧大劇場の取り壊しはかりんちょの退団を後押ししたきっかけのひとつでもあって、退団のご挨拶でも大劇場との別れを惜しむかりんちょが印象的でした。旧大劇場、すっかり忘却の彼方だけど客席にあった2階席を支える3本の柱がめっちゃ邪魔だったことだけすっごい覚えてるってどんだけ根に持ってるのわたしwwww

 

とにかく

こんな長ったらしい文章読んでないでとにかく録画して観てください(おい)。かりんちょは贔屓目を除いても着物の所作やしなが本当に色っぽくて美しいし青天なんて自前かと思うくらいには似合ってます。そして何度も言うけど歌ですよ。まさきさんの歌声に惚れたわたしの初めてのオトコですよ?観てソンはさせないから(たぶん)(急に弱気)。

 

NHK-BSプレミアム 2月20日(月)15時~

 

お忘れなく!
回し者の番宣でした!