愛あればこそ

愛あればこそ

宝塚愛をこじらせたヅカヲタの戯言

デンマークに行ってみたくなりました ◆ '17・花組『ハンナのお花屋さん —Hanna’s Florist—』

結局ミアの就労ビザの件はもう解決したのかな?そんなどうでもいい疑問が浮かぶくらいにはハッピーエンドでホッとしました。

私の景子センセの生観劇は『舞音』以来だったので相当斜に構えての観劇だったってのもあるのかだから余計に良かったのかも。『舞音』は脚本も演出もどうしてもハマれずただ主演の歌唱とビジュアルだけを頼りに通ってたようなもんだったし真咲さんも「なかなか役を掴みきれなかった」って言ってたけどそりゃそーだろ...って思ったくらいには(私には)理解不能な作品だったってのもあってそれ以来ちょっと景子アレルギー気味でした。でもなんとか過去形になりそうです(ホッ...)。

 

『ハンナのお花屋さん』@赤坂ACTシアター 10月22日(日)11:00 観劇

ロンドンの閑静な高級住宅地ハムステッドヒース、その一角に一軒の花屋があった。デンマーク人のフラワーアーティスト、クリス・ヨハンソンが営むその店の名は、“Hanna's Florist(ハンナのお花屋さん)”。自然との調和に包まれ、地元の人達からも愛されるその店には、心癒される穏やかな時間が流れていた。ところが、ある日、クリスの作品が栄誉あるフラワーコンペティションに入賞したことで、大きなビジネスチャンスが訪れる。トップフローリストとしての成功を目指すか、それとも・・・?そんな時、クリスは、仕事を求めて東欧からやって来たミアと出会い、次第に、自分の心の声に気付かされていく。故郷デンマークの森への郷愁、そして“Hanna's Florist”という店名に込められた想いとは・・? 世界中から人が集まる街ロンドン、そして自然豊かな北欧を舞台に、21世紀を生きる我々が求める本当の幸せ、人生の豊かさを問いかけるオリジナルミュージカル。花組トップスター明日海りおの爽やかな魅力と共に、ハートウォーミングなひと時をお届け致します。

 

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明日海さんの爽やかな魅力は存分に活かされていたし堪能できたけど、言うほど「ハートウォーミング」ではなくない?って思ったのはわたしだけ?大戦後のクロアチアセルビアの対立だったり、移民問題だったり、なんかこういう政治的紛争をバックグラウンドに持ち込みたいのは景子センセの癖なのかな?とも思いつつまあ背景が暗いほど主体は明るくなるし際立って良いとは思うのでその手法は嫌いではないけどそんな感じで「ハートウォーミング」感はわたしには薄かったかなー。

デンマーク貴族の血を引くクリスと内紛を逃れてロンドンにやってきたミア。クリスの父アデルと母ハンナも境遇は似たようなもので、このものがたりは時空を超えた二世代のラブストーリーなんだなーと思って観ていました。ときおり時空を超えて両者がニアミスするところなんか、その舞台演出も相まってすっごく好きなやつでした。

ただ、景子センセにありがちな、急に空気を一変するかのように歌い出す感じは観てるこちらが(おっとぉ...)となるのでちょっとニガテです。ミュージカルは得てしてそういうものだけど景子センセのそれはちょっと唐突感がありすぎて興醒めしそうになるやつで、どこの場面か忘れたけどミアが思いの丈を歌う場面とか『舞音』だと「愛はなんなのか」とかがわたしにとってのそれ...です。

あと個人的には「フェアトレード」連発するのがそこはかとなくイケコで言うところの“エコ”みがあってちょっと引きそうになるところだった...て思うと自分歪んでるなって思うのですが...まあ正直なところです。

冒頭は小柳センセみを感じたし後半は(あれ?正塚センセ?)みたいな場面もあったけどでもふたつのラブストーリーと花屋の人間模様、そこに渦巻く政治的背景がうまく絡み合って前半に撒いた伏線も後半であざやかに回収しにきているしでなんだかんだいいつつ総じてとっても良い作品でした。景子センセにはこの人、ってくらいの松井るみさんの装置も繊細で美しくて、まるで印象派の絵画を見ているようなそんな錯覚すら覚えたし、もうひとり、景子センセと言えばな大石裕香さんのダンスもいつもながら神秘的でした。

しかし、マリメッコな...。ビビった。公式やポスターにはいっさいマリメッコの文字はないけどあれどうみてもマリメッコ...プログラムには記載があるんだろうか。しかしほんと『PARFUM DE PARIS』の高田賢三かっ!ってくらいにはビビった。あの原色使いの大ぶりな花柄は舞台のインパクトすごかったし、いくら“花”をテーマにした舞台であってもどちらかというとローラアシュレイとかPINK HOUSE系じゃないですかこの作品的には?ってくらいにはちょっと違和感あった...かな...マリメッコ嫌いじゃないけど。

 

ハンナ(舞空瞳)

芸名差し替えで「おとめ」の発売遅らせた子だよね(ぶり返す)。でも注目されるだけあってヒロイン力すごかった。まだ研2とは思えない落ち着きっぷりだし歌もダンスもまだまだ伸び代はあれど一定のレベルには達している感じで星風まどかちゃんに継ぐ大物来たる!感ハンパなかったです。ハンナの「コウノトリが運んできてくれたのね!」ってのは(やることやってるくせに何言ってんだコイツ)くらいにはあまりにも電波だったしコペンの人間界での居た堪れなさっぷりとかもはや人外感しかなくて森の妖精かと思ったところでPUCKちゃんが「君...だれ?」って超イケボで脳内で囁きだしたので困りました。ほんとまさきちゃん邪魔。

 

アベル(芹香斗亜)

この公演を最後に宙組へいってしまうキキちゃん。花組に来てからのこの数年でだいぶ男役度が増したし歌の技術も向上したしで二番手としてじゅうぶんに熟し切ったところでの組替えっていったいなんなんですかね...。でもフィナーレの小憎い演出にはちょっと胸が熱くなりました。しかし、さすがの二世*1だけあってキキちゃんの品とアベルの貴族としての品にすっごく通じるものがあったしなによりあのシケ...デビュー当時のチェッカーズのフミヤ的シケ...あれすっごいたまらんやつだった(おまえ歳いくつだよ)。それと、孤児なのに御曹司として引き取られ愛情深く育てられたが故に父の事業を継ぐことを拒めず恋を失ってしまう感じはどこぞの愛短だよ...と思ったところでフレッドが「一生分そばにいよう...っ」ってこれまたイケボで脳内で力強く言い放つので困りました。ほんとまさきちゃん邪魔Part.2。

 

ミア(仙名彩世)

キキちゃんもだけどミアも出番が少ないのがちょっとなーとは思うけど、自身の出自と弟の一件で深い闇を抱えている感はよく出ていてうまかったです。あれだけ信用されて司書を丸め込んでまで貸してくれた本の返却期限は守ろうぜ、とは思ったし幸せになっちゃいけないことと人を頼っちゃいけないことはイコールじゃないだろくらいには人の好意をシャットアウトし過ぎ感あったのがちょっと淋しくもありでもそれだけミアの闇は深いんだろうなーと思わされた所以でもありました。ゆきちゃんの歌はさすがに安定していて安心して聴けたんだけど、ゆきちゃん素顔はきれいなのになぜメイクダウンしてしまうんだろうか...あれほんともったいない...なんとかしよ?と思ったところでガラコンのシシィちゃんが「なあ人のこと言えんの?」ってなぜか脳内関西弁で聞いてきました。ほんとまさきちゃん邪m(強制終了)。

 

クリス(明日海りお)

エプロン似合いすぎだしこういう作品見ると屈折した陰なみりたんもいいけどほんわかしたみりたんこそ威力を発揮するんだなーとも思わされてとてもニンに合っていました。マザコンだし束縛マンみたいなのでわたしのタイプではないけど(心配せずともあちらから願い下げです)それはそれはかなりなイケであんな花屋がいたらわたし毎日通うわ(真顔)。後半、アベルが亡くなってから父の真実を知っていくくだりは(生きている間に教えてやれよ...)とおじさんにツッコみつつも父の死への悼みと相まって父、ひいてはデンマークへの敬意がひしひしと伝わってきて花組に異動してからのみりたんの成長ぶりを感じた、そんな母心がふつふつと沸いた観劇でした。

 

それと、劇中に出てきた絵本、実在する絵本みたいで劇場で販売していましたので備忘として。こういうところはちょっと『Paradice Prince』っぽい。

サニーのおねがい 地雷ではなく花をください

サニーのおねがい 地雷ではなく花をください

 

 

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デンマークって、住みやすい国No.1に選ばれているだけあってきっと本当にいい国なんだろうなー。知人(日本人)がデンマークに移り住んでいるので一度は訪れてみたいと思いつつ、長時間の飛行機にビビってまだ実現していません。先日、テレビ番組で「デンマークの有名人といえば?」みたいな問題があってまあ答えは「アンデルセン」なんだけどすかさず「ハムレット!」とテレビに向かってドヤ顔で言い放ってしまう自分のまさきちゃん脳をなんとかしたい今日この頃です。まさきちゃんもうフランスから帰ってきたかなー?

 

Musical『ハンナのお花屋さん —Hanna’s Florist—』

花組公演『ハンナのお花屋さん —Hanna’s Florist—』 | 宝塚歌劇公式ホームページ

TBS赤坂ACTシアター 2017年10月9日~10月29日

作・演出:植田景子 / 作曲・編曲:斎藤恒芳・瓜生明希葉 / 編曲:植田浩徳 / 振付:大石裕香 / 装置:松井るみ / 衣装:有村淳 / 照明:勝柴次朗 / 音響:大坪正仁 / 主演:明日海りお・仙名彩世

*1:お母様はカリンチョと同期の白川亜樹さん