愛あればこそ

愛あればこそ

宝塚愛をこじらせたヅカヲタの戯言

宙の太陽は燦々と輝いていました ◆ '17・宙組『クラシカル ビジュー』

花で生まれて宙で輝けたまぁくんは最後に宙の太陽になったんだなーと、稲葉センセのにっくい歌詞にプロローグからフィナーレまで動かされっぱなしのショーでした。

 

人の心を掴んで離さず、時に人を惑わせる華麗な宝石(ビジュー)。色とりどりの煌めきを放つ宙組メンバーを、あまたの宝石になぞらえた場面で構成するレヴュー作品です。伝統的な男役の美しさを体現する朝夏まなとの魅力を、様々な光を放つ宝石に投影し、その輝きを最大限に味わえるレヴューとしてお届け致します。

 

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『神々の土地』はあまりにも奥行きが深くてわたしのうっすい頭ではまとめきれていないのでもう一回観劇してからなにか書き残そうかなーと思いながらでも今までウエクミに抱いていた嫌悪にも似た閉塞感みたいなものは今回はなくてそれどころかすっかり観劇欲が満たされた感じでだから今までのように前モノで残ったもやもやをショーで挽回しようという感じではなくさあ次は思いっきりショーを楽しむぞー!というポジティブなショー観劇になりました。

主演男役のサヨナラ公演っていうことでどうしても1年前の龍真咲さんの公演を思い出しちゃうんだけど、トップの色によってこうも違うのかと思わされるショーでした。宙の太陽として組子全員に囲まれてその中心でまさに太陽のような笑顔で輝きながら旅立っていくまぁくんと目の前で自立し歩き出した組子たちをその背後から愛おしそうにそっと見つめひとり大階段をあがり去っていく真咲さん。どちらも違ってでもどちらも宝塚への、組への、そして組子への愛は変わらない。

そんな感傷に浸りながらもさすがの稲葉ショー、セットが豪華できらきらしていてすごいなーと思ったしプロローグからの銀橋歌い継ぎだとかこの流れだと次は花道からロングコートでまぁくんイケに出てくるのかなーいやまさか...と思いながら下手花道見てたらまあ上手だったんだけど本当にまぁくんがロングコート着てかっこよくキメながら出てきたりだとかここかしこがどっかで見た稲葉くんだらけだったので(稲葉くん...)と思ったしこのままだとまたカポエイラ出てくるのか!?と思ったらそれは今回はなくてまあなんとかぎりでマンネリ化は避けられた...ということにしておきます。

トップ娘不在ってことでどちらかというとトップと二番手のコンビ色を強く押し出してきている感じでそんなまぁくんとマカゼのコンビはどこか耽美で妖しげで美しかったです。噂に聞いていたアクロバティックなリフトは残念ながら無くなってしまっていて、生で観てみたかった残念感とでもあれだけただのオトコでも()結局は女が女を担ぎ上げるわけでさらに毎日2公演アクロバティックな技をこなすにはやっぱり危険すぎるってのもわかるからちょっと安心したりもしました。

そして不在なトップ娘の立ち位置を埋めにきているのはやっぱりうららとまどかで、今回は自身も退団ってこともあるのかそんな中でもどちらかというとうららだったんだけど、マカゼとうららの画がやっぱりすっごい似合っていてほんとうにもったいないなーと思いながら21世紀版“泥棒紳士”とわたしの中で銘打った美しいふたりの場面を観ていました。うららは歌えない踊れないけどあれだけの美貌があったら昔の宝塚だったら絶対娘1になってたと思うんだけどなーと思うにつけ、最近はビジュアルに加えて一定の実力も求められる世の中になってきたんですね、って思いながらまあ鮎ちゃんとか檀ちゃんを脳裏に浮かべていたってのはここだけの話です。

しかし、まぁくんの黒燕尾の美しさは至極ですな...やっぱりトップスターのラストには全く飾り気のないシンプルな黒燕尾こそが素材の味を引き立てるというか、素材そのものの輝きがいちばん映えると思うしトップを極めた人だけが表現できる自身の核みたいなものが見えるような気がしてだからサヨナラ公演の黒燕尾にはどうしても感動させられます。インストゥルメンタルな曲をバックにシンプルなスポットのみでひとり踊る、黒燕尾と言えば羽山先生なまぁくんの末端まで行き届いた美しいダンスがまるで動く絵画を観ているようで鳥肌が立ちました。

 

稲葉ショーとしてはちょっとまとめにいった感もあってイマイチな感じもあったけど、宙組を愛し宙組に愛されるまぁくんのサヨナラとしてはサヨナラらしくてサヨナラらしくない、すっごくあったかいショーになっていてだから総じて良きショーだと思いました。朝夏まなとに栄光あれ。

 

レヴューロマン『クラシカル ビジュー』

宙組公演『神々の土地』『クラシカル ビジュー』 | 宝塚歌劇公式ホームページ

宝塚大劇場 2017年8月18日~9月25日/東京宝塚劇場 2017年10月13日~11月19日

作・演出:稲葉大地 / 作曲・編曲:太田健・高橋恵 / 音楽指揮:大谷木靖(宝塚大劇場)・塩田明弘(東京宝塚劇場) /  振付:羽山紀代美・御織ゆみ乃・若央りさ・KAZUMI-BOY・桜木涼介 / 装置:國包洋子 / 衣装:河底美由紀 / 照明:氷谷信雄 / 音響:大坪正仁 / 主演:朝夏まなと