東野圭吾「赤い指」
加賀恭一郎シリーズ中の一作。
犯罪を超えたその先に、本当の闇がある。
2日間の悪夢と、孤独な愛情の物語 直木賞受賞第1作 書下ろし長編小説
「この家には、隠されている真実がある。それはこの家の中で、彼等自身によって明かされなければならない」
まさかこんなに泣かされるとは思わなかった。
最後の50ページくらいがこの本の神髄なんだろうと思わせられるほどの展開の妙。ただ事件を解決するだけじゃない、人の心の深いところまで読み解いて収めにいく加賀恭一郎の天晴感が素晴らしくて、まさかの展開にすっごく泣かされました。
息子の将来を思いその罪を隠ぺいしようとする歪んだ母の愛と、自己を犠牲にしてでも息子に自身の過ちを気づかせたい無償の母の愛の両極を見たような気がして、すっごく身につまされました。
いとこ同士の加賀と松宮がコンビを組み事件を解決していく中で露わになる加賀の父との確執、松宮の叔父への思い、そして当人が死すことでやっとすべての誤解が解けていく展開もどうしようもなく切ないやつでした。
夫婦関係、親子関係、嫁姑関係、兄妹関係。近くて遠い関係性をすっごく考えさせれらる、そんな作品でもありました。
素晴らしい作品。
評価:★★★★★