愛あればこそ

愛あればこそ

宝塚愛をこじらせたヅカヲタの戯言

宝塚らしからぬ作品を好演 ◆ '96月組『銀ちゃんの恋』

 
『銀ちゃんの恋』-つかこうへい作「蒲田行進曲」より
月組・宝塚バウホール公演 1996年6月1日~15日
月組・東京特別公演(日本青年館大ホール)1996年8月7日~14日
潤色・演出 石田昌也
 

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『銀ちゃんの恋』観ました。月組初演バージョン。
 
 
なんとなーく、自分の中で宝塚の作品におけるニガテ分野があって。
現代(明治時代以降)モノの日本モノ。とは言っても食わず嫌いなだけでなにかのきっかけがあれば観るしいい作品ももちろんあるんだけど。どうしても自分から積極的に観る気にならない。作品が悪いわけでも演出が悪いわけでもない。まあ中にはそういうのもあるけど。
なんだろ、現代の日本人が現代の日本人を演じるというぎりぎりのリアルさが夢の世界へのきらきらしたフィルターを破いてしまいそうな。うまく言えない。気持ちの問題かもだけど。
 
そんな感じで『銀ちゃん-』も食わず嫌い的に観ていませんでした。
でもある方の「まさきさんで銀ちゃん見てみたい」という言葉を聞いて、興味がむくむくと。
 
演出は石田先生。
そこはかとなくお下品さが漂うのは石田先生の演出所以なのか。
そもそもの作品所以なのか。
出だしの演出には「おい、石田wwww」となりました。挑戦的な感じ決して嫌いじゃないよ、うん。(腹抱えて笑いながら)
 
タイトルには“恋”とあるけどどちらかというと男の友情を全面に押し出した話。
あ、私「蒲田行進曲見てないし見てないどころかなんとなくのストーリーすら知りません。“階段落ち”っていうキーワードだけ。
 
結論宝塚向きの作品ではないんだと思う。
女を孕ませておきながら自身の出世のために子分的な男に女を押し付け身勝手に生きる男の話。
トップスターが毎回鼻にティッシュを詰められる。いいのかこの演出。
トップ娘がほとんどの場面を腹ボテで通す。うーん。
 
これ、ゆうひさんで再演したんだよね?しかも2回も。
ゆうひさんが熱望したの?
でなければ再演するほどの佳作とは思えないんだけど...(もごもご)
 
なんかねー。
あまり共感できないまま終わった。
誰も幸せじゃない。
 
 
でも数々のド派手な衣装を着こなすノンちゃん(久世)は良かった。
ノンちゃんはこう...白馬の王子様というよりリアリスティックな人間臭い役の方が似合うし魅力的だと思うのでそういう意味では銀ちゃん似合ってた。
個人的には「と・も・こちゃあぁぁん♡」って鼻の下伸ばしてデレてるノンちゃんかわいかった。
人一倍プライド高くてわがままで気分屋でノーテンキで女を遊んで捨てる。言ってしまえば最低な男。そんなクズ男をここまで魅力的に宝塚の男役として演じきれたのは他でもないノンちゃんの屈指の芝居心があったからこそなんだとつくづく。
 
風花さんはベビーフェイスのくせに声とか仕草が大人びてますよね。見ててドキッとします。『CAN-CAN』の女主人も色っぽい役だったけど今回は色気に加えてどうしようもなく哀愁が漂う。銀ちゃんの子を宿しながら銀ちゃんに言われるがまま好きでもないヤスと暮らし始める小夏がお腹の子の成長とともに少しずつヤスに惹かれていく感じ、そこからのヤスにプロポーズをねだるところが印象的だった。「ヤっさん...」って吐息交じりに色っぽく言うのアレたまらんです。
 
そしてヤスを演じた汐風幸さん。ちょびヒゲちょっと似合ってなかったけどでもめっちゃオイシイ役。なんなら風花さん差し置いてトップの相手役と言ってもいいくらい。銀ちゃん大好きなヤス。銀ちゃんに殴られ蹴られることで愛情を確認するヤス。
命を落とすかもしれない階段落ちの直前「俺が主役だ」と息巻いて自身の咥えた煙草に100円ライターを差し出すスタッフにキレるヤス。それを見て自分の(高価な)ライターでヤスの煙草に火を点けてあげようとヤスに近寄る銀ちゃん。ライターを出した直後思いっきりヤスを殴る銀ちゃんに「それでこそ銀ちゃんだ」と喜ぶヤス。ここからの階段落ちまでの友情なのか愛情なのか銀ちゃんとヤスの絡みが見どころ。
 
ただ、ラストシーン私よく理解できなかったんだけど、あれは“劇中劇の芝居”を演じてたの?あー自分でも混乱してくる。劇中劇中劇?だったの???
ネタばらすけど階段落ちで銀ちゃんの腕の中で死んでいったはずのヤスが生きてた。ヤスが安置されているはずの棺からギンギラギンの電飾銀ちゃんが出て来た。そこで監督の「カーット!おつかれさまでした!」みたいな掛け声とともに袖からヤスが元気に走り出てくる。
ん???劇中劇中劇???ってことでいいのかな???
あまりにも突然、そしてあまりにも一瞬だったので理解不能。頭上を“?”が飛び交う。でもきっと劇中劇中劇、ってことなんだよね。そう思うことにしておく(^-^)
 
 
 
そして。
まさきさんの銀ちゃんを想像してみる。
やだまさきさんの銀ちゃんかわうぃいいいいいいいいいいいいいいいい!!!クズなまさきさんたまんねぇえええええええええええええええええ!!!ヤスに感情移入して思いっきり睨み付けられてボコボコに殴られたいし小夏になって一生懸命作ったお弁当投げ捨てられたい。でもって朋子になって「と・も・こちゃあぁぁぁん♡」ってめっちゃデレ顔デレ声で言われたい。龍真咲わーるど!!!全開!!!それにまさきさんにかかってはあのド派手な衣装たちも難なく着こなすだろうしなんなら「一着は私服だったんですけどみなさんどれだかわかりました?」ドヤ顔で言ってのけそうだし。やだもう妄想楽しい!シアワセ!!!(ほんとアホですね...)