愛あればこそ

愛あればこそ

宝塚愛をこじらせたヅカヲタの戯言

演出家の組子への愛が溢れていました ◆ '18・雪組『SUPER VOYAGER!』

文字にして読みたい演出家No.1が上田久美子なら、文字に起こしてはいけない演出家No.1です、ぶっちぎり。野口幸作。譜面渡されて目を通しただいもんはじめ組子たちの心中こころからお察しします...

 

f:id:whea-t:20180122094223j:plain

 

 「VOYAGER(ヴォイジャー/航海者)」をテーマに、望海風斗のトップスター就任と新生雪組の「船出」を盛大に祝福する颯爽絢爛なレヴュー作品。

 豪華客船の出航をイメージした躍動感溢れるプロローグに始まり、「望(HOPE)」「海(OCEAN)」「風(WIND)」「斗(BIG DIPPER)」と新トップスターの名前にまつわる場面を中心に、未来への希望に満ちた場面の数々で構成。

 望海風斗の男役の美学と新生雪組の魅力の全てを凝縮した究極のエンターテインメントにご期待下さい。

 

 空から降りてきて「ギュッと抱きしめてあげる」と上から言わされる刑に処されるだいもんも、『A-EN』のくっそ甘い台詞を銀橋で再度言わされる刑に処されるあーさもほんとうにお気の毒だったんだけど、往々にして他の組子たちも大小あれど「野口幸作に二次元でもくっそ寒いほどの甘い台詞を2,000人の面前で言わされる刑」が執行されていたというのにみなさん甘んじてその刑を受け入れるどころかなんなら刑を賞に上書きするくらいにノリノリにキメている感がさすがのタカラジェンヌでした。そっちがそう来るならこっちも開き直って全て受け止めてやろうじゃないか...と脳内切り替えたらなんか......やだ......すっごい幸せでした...。望海さんに「ギュッと抱きしめてあげる」って言われてあーさに「大好きだぞ泣き虫プリンセス」って言われて、雪組のイケメンたちに次々と胸キュンな言葉をかけてもらいました。さいこうに幸せな人生でした(遺言)。

 

 本作は望海風斗のお披露目作になるわけだけど、いままでこんなにもお披露目のお膳立てされたトップっていたんでしょうか。まるで退団公演かのようにだいもんの名前を場面に見立て、走馬灯のように今までの舞台映像を流し、歌詞には「花」や「雪」が散りばめられてだいもんの軌跡を模った場面もあって、「Have you ever done before?(あなたもそんなことある?)」ファン時代の望海さんが天海さんに日記の中で語りかけていた今では有名なこの一節がスクリーン上に浮かんだ時には野口センセの深い愛を感じずにはいられませんでした。望海さんほんと幸せだよ......かつてはお披露目だというのに碌な扱いされなかった某トップだっていたっていうのに、それと比べたらほんと望海さんすっごく幸せだよ......(根深い闇)

 

 「レビュー・スペクタキュラー」って銘打ってるわりにはちょっとレビュー感薄かったけどでも全体的な構成は好きです。最初から最後まで飽きることなくどの場面も楽しめました。そしてもしかしたら一番好きな場面はラ・ラ・ランドの場面かもしれない...ってくらいダンスで綴られるあの長い場面がすっごい楽しかったです。色とりどりの男女が楽しく踊りながら袖に出入りしているだけなのにすっごいわくわくしたし、縣くんの肩にひとこが肘を置いてふたり見つめ合ってはにかみながら前に出てくるところはひとこたんソーキュート!でした!!!

 暴風雪のアイドル場面もまああーさが雪に組替えしたら誰だって翔くんと並べてジャニごっこしたくなるよね、っていう万人の願望をかなえてくれた野口センセにはほんと感謝なんだけどでもここほんと...なぜ口パクにした...前回星組で生歌は懲りたのかもしれないけど今回はあーさもひとこも歌えるほうなんだからここは生で行こうよ野口くん...てか観客の多くは多少音外したとしても生の歌声を聴くことを望んでるしそれが歌劇だし宝塚だよ!!!野口くんもヅカヲタなんだからその辺わかって欲しかったョ......

 

 そんな不満もありつつお正月のテレビ放送で二度見したひとこたんのダルマがほんとさいこうでした。それの何がさいこうって、尻と太ももの境目の肉みがほんとさいこうなやつだったし(安定)、何作かの女装を経てすっかり開き直ったというか自信すら身に着けたようなひとこたんのドヤ顔もさいこうでした。そしてあの狭い大階段で繰り広げられる一糸乱れぬマスゲームはほんとうに綺麗だったし、中詰め終わりであーさがひとり銀橋に残ってソロを歌いだしたときには(あーさ!良かった!雪組に来てほんと良かった!!!)って思うくらいには全方位に感謝したりもしました。

 

 宝塚ファンの野口センセらしいちょっとクラシカルで宝塚らしい、愛に溢れたショーでした。次作も楽しみにしたいと思います!

 

 

公演CHECK

レヴュー・スペクタキュラー『SUPER VOYAGER!』

雪組公演 『ひかりふる路〜革命家、マクシミリアン・ロベスピエール〜』『SUPER VOYAGER!』| 宝塚歌劇公式ホームページ

宝塚大劇場 2017年11月10日~12月25日 / 東京宝塚劇場 2018年1月2日~2月11日

作・演出:野口幸作 / 作曲・編曲:青木朝子・手島恭子 / 音楽指揮:西野淳 / 振付:羽山紀代美・麻咲梨乃・ANJU・ASUKA-TAKAHASHI・三井聡 / 装置:大橋泰弘 / 衣装:加藤真美 / 照明:勝柴次朗 / 音響:大坪正仁 / 主演:望海風斗・真彩希帆